「この人を、好きになってもいいんだろうか」 そう思った時に、読んでほしい。
とあるところに、婚約を誓ったカップルがいた。
その国には、ある日を境に壁が立った。国が二つに分かたれた。
片方の国からはもう片方に行けるが、その逆はなかなか認められてはいない。
向こうの国に行くには書類が必要だけれど、その紙はなかなか手に入らない。
そのカップルの女性が病に倒れた。
男は見舞いに行きたいと申請を出したが受理されない。
「それは認められない」
何度も申告しては拒否されるを繰り返すうちに、彼女の病状が悪化した。
……そしてしばらくの後、彼女は命を引き取った。
せめて彼女の葬式だけでもと必死に懇願した彼の願いは、聞き届けられることはなかった。
彼は強引にその壁を越えた。そして、警察に捕まった。
「それは認められない」
そのことで彼は鬱病になってしまった。
この壁が、息子をこうさせた ──── 彼の母親が、その壁にそう書き記した。
・・・
とあるところに、夫婦がいた。
旦那のことは大事に思っている、けれど、どうしても好きな人がもう一人いた。
それを女性は素直にまっすぐに旦那に打ち明けた。
「それは認められない」
相手の連絡先を消すように、旦那は妻に言った。
・
とあるところに、年の差が大きく離れたカップルがいた。
一人はとうの昔に成人した女性だった。もう一人はまだ少年と呼ばれる男の子だった。
二人は本当に愛し合っていた。すごく幸せそうだった。
「それは認められない」
周囲の人たちが彼らを責め立てた。彼らはとうとう会うことが出来なくなった。
・・・
最初の話は、イスラエルとパレスチナの話。十数時間空を飛べばたどり着く、少しだけ離れた国の、本当の話。
残りの二つは、日本の話。こちらはすぐ隣で起きた、そして本当の話。
日本には、目に見える壁はない。紙一枚を申請しなくても、会いたい人に会いに行ける。愛したい人を愛することができる。
……本当に、そうだろうか。好きだと思った人を、心から好きでいられる自由が、本当にあるんだろうか。
イスラエル・パレスチナでの出来事と、日本での出来事と、「自由に愛したい人を愛せるか」という点において、なんら差異はないと思う。
「タブー」という目に見えない壁はむしろ、日本の方がより高くそびえ立っているのかもしれない。
冒頭の話は、親友の石原舞から先ほど聞いた話だ。
彼女は今年30になって、重たいトランポリンを担いで、ギリシャ、アフリカ、そしてイスラエル・パレスチナへ飛んだ。
彼女の夢は、"世界中の銃を溶かして、人を傷つける鉄を、トランポリンやアクセサリーや、人の笑顔を作るものに変えること"。
「だってね、ルールも同じ人が作ってるんだよ」
— 藤井みのり@11/9江ノ島1Dayスナック (@lovecreator3) November 4, 2018
石原がいつも言う言葉。それで彼女は本当にルールをいくつも超えてきた。常識も超えてきた。
彼女の生き様は、いつも私を奮い立たせてくれる。
法律も、ルールも、世間体も、常識も、それが誰か他の人の手によって作られたものであることを、私たちは忘れている。そこにあることを無意識に受け入れている。その壁は、少し遠い国の彼がしたように、本当は乗り越えることがいくらでも出来るのに。
もし。もし、最初の話には酷く心を動かされたのに、残りの二つには「仕方ないよね」と思ってしまったなら。もう一度、胸に手を当てて聞いてみて欲しい。
「愛したい人を愛せない人生のまま、この命が終わっていいのか」
私は嫌だよ。どれだけそこにタブーがあっても、非難されても、それでたくさん傷つくけれど、それでもそこを捨ててしまったら、それはもう私にとっては人生の方が終わっている。
愛したい人を愛せない日々を過ごしたら、それこそ鬱になってしまう。鬱になったからこそ改めて思う。
後半の二つの話は読者さんが私に送ってきてくれたものだ。
「母親としてとりあえず世間体やモラルを守れる女性。
でも…そうじゃない私も私。人を思いきり愛したい、
それは一人じゃないかもしれない、
頭がおかしいという人がいても自分らしさは変えられないし
私の息子、年中で自閉症なんですけど、
この子を見ていると当たり前とか無難とか一般的とか
飛び越えていける気がするんです。」
『人を、思いきり愛したい。』
この願いが形にならなくて、何が世界だ。何が人生だ。
幸せになる方法とか、自分らしさとか、そんな上っ面の言葉じゃない、タブーがあってもそれでもとこみ上げるこの慟哭のような衝動に、私たちは嘘なんかつけない。
「いつもみのりさんの言葉に救われてます」そういただく度に思う。これらの言葉は読者さん達とやりとりしていて浮かび上がってくる言葉だ。だから、それをくれているのはあなたなんだ。そして紡いだ言葉で一番背中を押されているのは間違いなく私なんだ。だから、私だっていつも怖いし、震えるし、だけど飛び越えて行けるんだ。
──── 読んでくださる方々に感謝を込めて。ありがとう。
そして、"愛したい"という思いを手に、自由の女神のように、立っていて。あなたは、一人じゃない。誰もが本当はそう思っている。
愛したい人を、愛したいだけ、愛し抜こうよ。
The life of the love, by the love, for the love.
「本当は、思いきり愛したい。」
その思い、よければ私に送ってくれませんか。
(完全無料。お手紙コラムが届きます。いつでも感想や相談が送れます。読者さんの数は現在2,345人)
P. S.
石原舞へ、写真使わせてもらうね。
ありがとう。あなたの生き様に、あり様に、いつも私は後押しされている。
\ イベント情報/
◼︎11/9,23&12/14(金) @江ノ島『1Dayスナック・ラムピリカ』へ、ようこそ。
好評をいただいている、涙あり笑ありの「スナックラムピリカ」。
本音で話せる場所が、思いきり自分を愛せる場所が、生きていくには必要だから。
18:30〜21:00@江ノ島!(入退出自由)
詳細▶︎11/9スナックラムピリカvol.5
\ コラム読者さん限定、BBQ開催!/
■大好評。無料:LINE限定コラム。■
読者2,343人、累計コラム118通突破。
LINEでしか読めない、セックスレシピのトーク型コラム。
「こんなこと書いて欲しい」「今これに悩んでいる」
LINEからお気軽にリクエストをどうぞ!
または、ID:@lha1700b で友達追加(冒頭は小文字のL)
■Twitter&Facebook◼︎(フォローお気軽にどうぞ!)
Facebook:ホットなハイライト。
■Mail■
Words Warm the World.